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海水浴の厄介者?でも実際は、、「ミズクラゲ」

○ ミズクラゲ目ミズクラゲ科

ミズクラゲ (Aurelia aurita)

分布

世界中の暖かい海に生息しており、沿岸域でよく見られます。


特徴

傘の直径は40㎝ほど。クラゲと聞くと皆さんが真っ先に思い浮かべるのはこのミズクラゲではないでしょうか?

クラゲの中でもよく知られ、水族館でも癒し担当として幻想的な空間を作り出し、見る人たちを魅了してくれる人気者です!

どこの水族館に行っても、クラゲ水槽の前に立つと時間の流れを忘れてしまいそうになります

中でもミズクラゲはクラゲ水槽の主役と言っても過言ではない

クラゲは傘の形などによって様々な種類に分かれるのですが、そのうちミズクラゲはお皿をひっくり返したような丸い傘が特徴的な鉢虫綱に属しています。

鉢虫綱は最もメジャーなクラゲが多いグループで、ミズクラゲ意外にもアカクラゲやオワンクラゲなど、私たちが普段耳にしたりするクラゲが多くいます。

ミズクラゲは透き通った半透明の水色のような円形の傘と、その中央部にある四葉のクローバーのように見える4つの胃腔が特徴的で、その胃の上に重なるように4つの生殖腺が備わっています。

この生殖腺は繁殖期になるとミズクラゲの雌雄を判別することに役立ち、雌なら生殖腺はピンク色になり、雄なら生殖腺の色は水色に変わります。クラゲは性別がなさそうですがちゃんとオス、メスの区別があるんです。

また、ごく稀に胃腔と生殖腺が3つの個体や5つの個体もいるため水族館でミズクラゲを眺める際には水族館の楽しみ方の一つとして是非四葉のクローバー探しならぬ、幸運のミズクラゲ探しにチャレンジしてみてください!笑

ちなみに胃腔と生殖腺が6つある子もいるので見つけた方はラッキーですよ!

生殖腺どうしが隣り合っていてハート型に見えなくもない、、。

他にも、成熟した雌には傘の裏側中央部に薔薇の花のような、フリルのような保育嚢があり、雄にはこのような特徴はないため、この方法でも見分けることができます!

そして、同じく傘の裏側中央部からは大きくてよく目立つ4本の口腕が伸びており、この部分に毒があると思われがちですが口腕はあくまで捉えた獲物を胃に運ぶのが役割のため毒はなく、傘の縁から伸びる細い触手に毒を持っています!

傘の淵から出ている繊維状のものが毒のある触手。ちなみにこの個体はオスです


名前の由来

クラゲとは漢字で表すと「海月」や「水月」、「水母」などと表されます。

皆さんもどこかで一度は見たことがあるのではないでしょうか?

海の月、水の月というのは、どちらも水面を漂うクラゲが海に浮かぶまんまるな月に見えたことが由来となっており、今回紹介するミズクラゲはまさにこの由来の通りの形をしていますよね!

また一方で、水の母の由来の詳しい理由ははっきりと分かっていないのですが、「クラゲ」という言葉そのものの由来は、クラゲには目がなく眼点しかないため明るさしか感じ取れないことから「暗げ」が転じたとされる説や水中をクラクラと漂うからとされている説など複数あります!

そして今回紹介しているミズクラゲの名前の由来は本種の体色が限りなく水に近い透明な色をしていることから来ており、満月のようにまんまるな形をしていることから英名ではMoon jellyfish(ムーンジェリーフィッシュ)と呼ばれています。

あ、ちなみにジェリーフィッシュというのはクラゲ全般を英語で表す言葉で、クラゲの体がゼリーのようにプルプルしているからなんです!

生態

日本では北海道を除くすべての地域で見ることができます。

ミズクラゲは遊泳力がなく、自分で泳ぐことができないため流れに身を任せてふわふわと海中を漂うようにして生活するいわゆるプランクトンの仲間です。

そのため、夏になると浜辺や漁港に流れ着く様子をよく見かけます。

ちなみに死んでしまった後でも毒は残っています

・食性

食性は肉食性で主に動物プランクトンを捕食して生活しています。
獲物を捕らえる際ミズクラゲは目が見えているわけではなく、自ら泳いで獲物を探すこともできないので、流れに身を任せて海中を漂い、触手に触れた獲物に毒針を発射して仕留め、捉えた餌を口腕で団子のように丸めて捕食します!

・クラゲには脳も心臓もない

クラゲの毒針は正確には刺糸という細い糸のような針で通常、刺胞のなかに格納されており、そこへ衝撃が加わると刺胞の中から刺糸が飛び出すという反射的な仕組みをしています!

意図的に行動しているわけではないんですね。

それもそのはず、ミズクラゲに限らず全てのクラゲには脳がなく、さらに驚くことに血管や心臓もありません!

もはやどうやって生きているの?という感じですね、身近にこんなに不思議な生き物がいたと思うとワクワクしませんか?

そんなクラゲ達は、餌を探すときも捕食するときも、繁殖するときも考えて行動することはできず、常日頃から反射的な動き本能的な動きだけで生活しているんですね!

また、血管のないクラゲは代わりに水管という器官を備えており、血液の代わりにを通すことで酸素や栄養分を身体中に運んでおり、その酸素などを身体中に送り出すために、自らの傘をふわふわと収縮させてポンプの役割をさせることで心臓の代わりとしています。

そして、目のないクラゲは当然周囲の状況を視認することはできませんが、傘の縁に備わっている眼点で、光の明暗くらいならばわかるようです。

この眼点の数はクラゲの種類によって異なり、ミズクラゲの場合は傘の縁に沿って8個持っています。

一方でアンドンクラゲなどのハブクラゲの仲間はこの眼点の個数が非常に多く遊泳力もあるため、ハブクラゲの仲間は他のクラゲよりも活発で、光に反応して集まってくる習性があります。

そんなアンドンクラゲなどの解説はまた今度、

・繁殖

成体になり6〜7ヶ月ほどすると成熟し、繁殖期を迎えます。

そして繁殖期を迎えたミズクラゲは受精卵を産むのですが、ここでまた面白いことに、生まれたミズクラゲは親とは全く違う形をしており、その後も何度か形を変えながら成長していき、所々で生活様式も大きく異なります。

ふわふわと海中を漂い、水族館などでも私たちを癒してくれるミズクラゲの姿はほんの一部に過ぎないんです!

まず、受精卵から生まれたばかりのミズクラゲはゾウリムシのような形をしており、成体とは違って自由に水中を泳ぎ回ることができるんです!

この時期の子をプラヌラ幼生といい、このプラヌラ幼生は少しの間水中を泳ぎまわり、岩場や岸壁などの場所を見つけると今度はそこにくっついて生活を送るポリプになります。

ポリプはまさしくイソギンチャクのような形をしており、一度所定の位置にくっついたら離れることはできず、触手をゆらゆらと伸ばして引っ掛かるプランクトンを捕食してしばらくの間生活します。

そして、この時期が続いていくにつれ、徐々にポリプの体は分裂して縦に積み重なっていき、最終的にお皿を重ねたような形のストロビラ幼生になります。

回転寿司で山積みになっているお皿みたいな感じですね!笑

分裂して積み重なったポリプは一つ一つがエフィラ幼生と呼ばれるクラゲに少し近い形へ変わり、上の段から順番に離れそれぞれが海中をホワホワと動きながら漂い始めます

そしてこのエフィラ幼生が成長してやっと私たちのよく知るミズクラゲの形になり、その後成体となったクラゲが再び繁殖し、この成長過程をおよそ1年かけて繰り返します!

・クラゲは水を綺麗にできる?機能的な一面

ここまでだけでもミズクラゲの神秘的な生態がよくわかるのですが、実はこれらの他にもまだ面白い生態があり、なんとミズクラゲをはじめとする鉢虫綱のクラゲ(傘が鉢のような形のクラゲ)は、水を綺麗にするという驚きの技まで持っているんです!

ミズクラゲなどの鉢虫綱の傘は何かが触れると粘液が出るようになっており、これは捕らえた動物プランクトンを粘液で包んでまとめて捕食するのに役立ったりするのですが、同時に食べ残した餌や海中のゴミなども粘液によってまとめられ、海底に沈んでいくんです!

これにより濁った海水も綺麗になることが確認されており、その浄化能力は種類によって様々で、確認されていないだけで鉢虫綱に限らず、クラゲ全般がこのような習性を持っている可能性もあります

自然界ではこれによって海底に沈められた食べ残しは海底の生き物達の食料となり、クラゲの無意識であろうこの行動は自然界にだけでなく、他の生き物達にとっても非常にエコな能力となっているんです!

また、クラゲは体のおよそ98%が水分で構成されているため、その性質を利用して乾燥させたクラゲを材料にした吸水性抜群のオムツなどの商品を開発しようと研究しているところもあり、私たちの暮らしにも非常に役立つ可能性を秘めているんです!

また、クラゲのコラーゲンは通常のお酢などに浸して使うコラーゲンよりも水溶性が高く水に近いため、高い吸湿力・保湿力があるそうで、保湿液を作った会社もあります。

一度クラゲを使った保湿液、使ってみたいですね!

その他にもクニウムチンと呼ばれるクラゲから採取される物質が関節症の治療にも役立つとされ、ミズクラゲを含むクラゲ達を医療に応用しようと日々研究を重ねているところもあり、クラゲが私たちの暮らしに今後大きく役立つこともありそうです。

しかし、期待の一方でミズクラゲは一部の方々の間では厄介者としても扱われちゃっているんです、、。

・ミズクラゲによる被害

ミズクラゲは繁殖期になると大量発生することがあり、工場発電所などの取水口に吸い込まれ取水口を詰まらせて設備を止めたり漁網に大量に引っかかって漁網を破損させたり漁獲物を傷つけて価値を下げてしまうことがあり、深刻な被害を出してしまうことがあるんですね、、。

泳ぐことができないミズクラゲは吸い込まれそうになっても、漁獲されそうになっても漂うことしかできないのでこのような問題につながってしまうようです、笑

そのため、発電所などでは取水口の前にクラゲ防止柵を取り付けたり、海底から表層へと向かう水流を作り出すなどしてクラゲが取水口に詰まらないように工夫している企業もあります。

それにしてもこれはミズクラゲからしても飛んだ災難ですよね、、

・ミズクラゲの毒性と対処法

ミズクラゲの毒性は非常に弱く、刺されたとしても痛みは全くなく、ほとんどの人に大した症状が出ることはありません。

ミズクラゲの症状は酷くてせいぜい患部が赤く腫れてピリピリするくらいです。

私の場合は何度触手に触っても何も感じず、「え?今刺されているの?」というような感じでした。

本当に刺されているのかを確かめるためにミズクラゲを口の中に入れてようやく舌がピリピリとするという感じです。

口の中に入れた時の感覚は個体の大きさによって若干異なり、ピリッと辛い食べ物のような癖になるような感じで上手く使えばミズクラゲの触手も食材として使えるのではと思ったほどでした笑

ただ、毒が弱いからといって油断していると納豆アレルギーになったりすることがあり、そこからアナフィラキシーショックに繋がることもあるので十分に気をつけてください。

逆に元々納豆アレルギーの人がクラゲに刺されて、、というケースもあります。

なんでクラゲと納豆??と思う方が多いかもしれませんが、クラゲの毒に含まれるPGA(ポリグルタミン酸)納豆との相性が悪いようで、クラゲの毒針が刺さるたびにこのPGAが蓄積されるからだと言われています。

まあそもそもミズクラゲを口の中に放り込んだりすることなんてないでしょうが、自分から刺されに行くのは避けた方がいいでしょう、、笑

また、万が一刺されたからといってミズクラゲの場合はお酢を使うと逆効果になってしまうので注意しましょう。

確かにテレビなどでクラゲに刺された時の対処法としてお酢が挙げられますし、実際刺胞の働きを阻害してこれ以上刺されるのを防ぐことができますが、それはあくまでハブクラゲの仲間にのみ有効な手段です。

千切れた触手にも毒を発射する機能は残っており、お酢は効かないどころか余計に刺胞を刺激してもっと刺されることになります。

もし皮膚に付着した触手を引き剥がしたいときはこれ以上刺されるのを防ぐためにできるだけ指で剥がすのは避け海水や水で患部を濡らした状態でピンセットなど何かつまめそうなものでそっと引き剥がすようにしましょう。

魚食

味:★☆☆☆☆(お勧めしない)

食感はコリっとしているのですが当然味はなく、生息環境が関係しているのか個体によっては臭みがあるためエチゼンクラゲやビゼンクラゲのように食用には向かないと思います。

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