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○スズキ目ベラ科イラ属

イラ(Choerodon azurio

分布

千葉県以南の太平洋沿岸や新潟県以南の日本海、東シナ海沿岸、瀬戸内海、朝鮮半島、台湾などに生息しており、主に岩礁域で見られます。


特徴

全長40センチ程度に成長するやや大型のベラの仲間です。

鮮やかなコーラルオレンジの体と胸鰭の付け根辺りからから斜めに伸びる黒っぽい帯に加えて後ろにくっつくように走る白色帯が最大の特徴で、これらの特徴がとても印象的で覚えやすいため容易に区別することができ、本種と少し似たテンスとも見分けることができます!

そして黄色く色づいた鰭や胸鰭基部、垂直な壁のようになっている頭部や顔の大きさの割に小さな口なども特徴的で面白い形をしていますよね!

人で例えるなら顔の輪郭が四角くておでこの広い人、といった感じでしょうか、。
また、体の鱗は大きく、その鱗を縁取るような光沢のある青い模様が非常に美しく、唇は口紅を塗ったかのように青く塗られており、まるでおめかししているかのようで実際に目の前にするとつい見惚れてしまいます。

その一方で口からは太く頑丈な歯が生えているため、大型の個体を釣り上げた際や調理などで触る際には一応注意が必要です。

ベラと言えば成長に合わせて性別が変わる性転換を行うことが知られていますが、ベラの仲間の性転換は性別の違いが見た目にはっきりと現れるものが多く、主に模様や体色が変わる種が多いかと思います。

しかしイラの性転換はベラの中では少し変わっており、性別が変わっても体色や模様に変化はなく、その代わりにオスはメスに比べて頭部が迫り出して直線上になるという特徴があるんです!

一見すると変わった顔の形ですがイラ達にとってはトレードマークだったんですね!

どこか人間味を帯びた顔つきをしており、ふっくらした頬は赤ん坊のようにも見えます。
ちなみにこちらの個体の性別はオスです。

イラの頭部はコブダイの頭部のようにブヨブヨとしており、ツルツルとした感触があります。

唇の艶やかな青色は自然のものとは思えない色合いだと思いませんか?

歯は厚みがあってまるで人間のような歯をしています。間近で見ると唇の美しさが浮き彫りになりますね!

鱗は大きく、指の爪ほどの大きさがあります。鱗を落とすときは快感です(笑)

鱗の付け根にある青い縁取りは芸術並みの美しさを放っています

斜めの黒帯はお坊さんの身に着ける袈裟にも見えます

尾鰭は黒ずんだピンク色で後縁が黄色い

背鰭と臀鰭は黄色く、熱帯魚ですよ風を醸し出しています

腹鰭の最長棘条付近は一部だけ塗りつぶしたかのように黄色くなっています

胸鰭の鰭膜はしっかりとしています

腹側は白くなっています


名前の由来

漢字では苛魚と書きます。

イラは刺し網や定置網漁などで漁獲されたり、防波堤や船釣りで釣れたりするのですが、捕まえた際に仕掛けから外そうとイラの口元に手を近づけようとすると噛みつかれることがあり、その光景からこの魚がイライラしているように見えることから名前がつきました!
イラも急に釣り上げられてびっくりしたんでしょうかね、。

また、イラに噛みつかれると怪我をすることもあるため、噛まれた人が「なんやこいつ」とイライラすることも由来の一つとなっています!

立派な歯を持っていてベラの仲間の特徴である犬歯も大きく太いことから英名ではtusk fish(タスクフィッシュ:牙の魚)と呼ばれており、体の斜め帯が傷のように見えることからScar breast(スカーブレスト:胸の傷跡)とも呼ばれています。

学名に使われているChoerodonには豚の歯という意味があり、azurioの方には空の青という意味があります。

豚にもイラのような鋭い犬歯があり、イラの鱗に沿った青い縁取り模様が空の青のような色をしているところから学名がつけられていると思われます。

命名者の着眼点が面白いですね!

そしてイラは角ばった高い頭部や体の形がアマダイに似ており、磯でも見られることから和歌山県などではイソアマダイと呼ばれています。

さらに福岡では赤い目が鳩の目にそっくりなことからハトダイハトとも呼ばれ、他にも地方によってオーガンブダイなど様々な別名があります!



今度ハトを見つけたらこの目と比べてみてください!


生態

・生活環境

主に岩礁域や岩のちらつく砂地の海底で生活しています。

場所によって見られる水深が異なるようで、水深1メートルほどの浅瀬から50メートルくらいまでのやや深場で見ることができ、漁港などの岸壁からでも40センチほどの個体を見ることができたりもします。

浅瀬で見られる魚の中では比較的大型なため水中で見つけると他の魚たちよりも一際存在感を放っており、頭を下に向けて岩の隙間や砂の上を探るようにゆったりと泳いでいます。

しかし近づいて観察しようとするとあっという間に身を翻して、さっきまでのゆったりさを感じられないような動きで逃げられてしまいます!

ちなみに触ろうとすると噛み付いてくるという話を先ほど致しましたが、水中で見かけた際は攻撃してくることはないため安心してイラの美しい体に見惚れちゃってください!

・食性

群れを作らず単独で行動し、砂の中のゴカイなどの多毛類やエビ、カニなどの甲殻類を頑丈な歯でバリバリと砕いて食べます。

・成長に合わせて性別を変える

イラは成長に合わせてメスからオスへと性別を変える雌性先熟性(しせいせんじゅくせい)の性転換を行う魚で、他のベラのように性別が変わるにつれて体の色や模様が変わるということはないのですが、体が大きくなるにつれて頭部が張り出すためメスよりもオスの方が頭部が角ばっています。

イメージとしてはオスの頭部は横から見るとほぼ垂直になっている感じです!

・繁殖

産卵期は6〜9月の間で、繁殖期になるとオスはメスを求愛し、海面へ螺旋を描きながら上昇したのち、バラバラになって海中を漂う分離浮性卵(ぶんりふせいらん)を産みます。

また、イラはその鮮やかな見た目から水族館などでもよく見かけ、観賞魚としてお客さんの注目を集める魚でもあります。

九州や日本海側の水族館で多く見られたりするので、その辺りの水族館を訪れる際には是非探して見てください!!


魚食

味:★★★☆☆

身の種類:白身

選ぶときは体の模様がハッキリしていて薄れていないもの目が澄んでいるもの、体にハリがあるものを選ぶといいですよ!

旬は産卵期と重ならない秋の終わり頃から初夏にかけての間で、群れで行動しているわけではないためまとまった漁獲はないのですが、時期になると割と高頻度で市場や鮮魚店、鮮魚コーナーに力を入れているスーパーなどで見かけることができます!

ベラの中では比較的で大型なため存在感はあると思うのですが派手すぎる見た目からか食用としてはなかなか認知されていないようです。

実際に私が鮮魚店でイラを購入しようとした際、それを見ていたおじさんが「その魚物凄い色してるけど食べれるの?!なんか珍しいからちょっと写真とってもいい?」と驚愕されていました、。

そこで実はこのおさかなとても美味しいんですということをその場でお話しすると「次回見かけたら煮付けにして食べてみようかな」と感心された様子で帰っていかれました。

普段見ないような魚を見かけると食べれるのか疑わしくなる気持ちは危険回避能力として正常で、食べると本当に危ない魚もいるためそのような魚に関してはその危険性を伝えることも大切ですが、同時に世の中には知られてないだけでまだまだイラのように美味しい魚がたくさんいるんだということもこのサイトなどを通して伝えていきたいです!

という個人的な意見は置いといて、このように一般的にはあまり認知されていないようなイラなのですが、イラの産地となる地域では意外とこのおさかなを美味しさを知っている方も多く、普段釣りなどで外道扱いされるベラの中では比較的高値で取引され、高待遇を受けていたりもします。

まあベラはもちもちとした白身が非常に美味しいので外道と呼ぶにはもったいないと思うんですけどね、。

そんなイラの気になる食べ方なのですが、実は刺身や煮付け、塩焼きや味噌汁など様々な食べ方で活躍することができる万能魚なんです!

身はやや水分があり柔らかいですが、程よい繊維質で癖のない万人うけしそうな上品な味をしています。

ピンク色の身の魚は水分が多い気がします(そんなことない)

刺身は少しの甘味があって美味しく、醤油や柑橘系どちらと合わせても相性がいいです!

水気のある刺身が苦手な人は皮をつけたまま軽く炙ると水気を切ることができ、しっかりとした皮によってまた少し違った良さを感じることができます。

また、イラは他のベラよりも水分が少ないため煮付けや塩焼きも身崩れしにくくモチモチとした食感があって非常に美味しいですよ!

さらに、イラのアラからは癖のない良い出汁が取れるため、味噌汁にするのもオススメです!!

その他にも水炊きやポワレなど、アイデア次第で様々な食べ方をすることができいずれもハズレがないと思われるので、入手した際にはお好きな食べ方で調理してみるといいかもしれません!

イラのみりん焼き

イラの体はヌメリがなかなかに強いため、下処理の際には塩揉みするなどしてできるだけヌメリを落としておくと生臭さが取れて調理しやすいかもしれません。

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